読みやすい文字組み はじめの一歩 - Illustrator編

みなさまこんにちは。
SKIYAKIでクリエイターをしているコウです。


現在SKIYAKIでは、フライヤーなどの印刷物を制作させて頂く機会も多いのですが、今後じっくり文章を読んで頂くことがメインの冊子の制作予定が新たに出てきました。


そして、気になったのが……文字組み。


フライヤーは、手にとった方へいかに効率よく必要な情報を伝えられるか、短い時間内にどれだけの印象を残せるかを念頭にして、目に入ってきやすい文字組みをパーツごとに調整(=ツメ組み)するよう心がけていたのですが、長い文章メインの文字組みとなると違ってきますよね、、、ということで。


通常であれば、まずは以下を決めていく流れになると思うのですが、今回はある程度のフォーマットが予め決まっていたため割愛します。
 ・1ページに対して何段組みにするのか
 ・1段分の文字組は、何文字×何ラインにするのか

この辺りを考える上でもっと詳しく知りたい方は、以下の記事をどうぞ。

1行の文字数と文章の読みやすさ|いまさら聞けない!? 印刷・DTPの基礎知識|OKIデータ





今回、改めて見直してみたいな〜と思ったのは、Illustratorの文字設定。

しかしながら、奥深すぎて踏み出した足をつま先2cmで既に引っ込めたい状態。以下、あくまでも「今回の場合」&「てはじめに」ということを前提に読み進めていただけると幸いです。。


1. テキストボックスを作成

「1Q=1H=0.25mm」を元に、ボックスの縦横を算出。

今回は以下で作成しました。

文字サイズ12Q×26文字:行送り20H×縦44ライン=横78mm:縦220mm

 


2. 文字間のカーニングの設定
▼自動

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オプティカル

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▼和文等幅

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今回はベタ組みにしたいので「和文等幅」をセレクト。
それにより、和文は正方形の仮想ボディをキープしつつ、欧文はメトリクス(美しい間隔になるようにフォントメーカーが各文字に忍ばせた文字詰め情報を優先した状態 ※そんなに忍ばせていない場合もある模様)になります。
ちなみに「オプティカル」を選ぶと、Illustratorが書体のサイズを判断した字詰め具合になり、「自動」を選ぶと和文・欧文ともにメトリクスと同じ効果になります。

※自動(メトリクス)を選ぶとき、後からさらに文字詰めを手動で調整したい場合は、OpenType+プロポーショナルメトリクス設定のセットが基本のようです。

…が、今回は「和文等幅」なのでこちらも割愛します(もっと勉強します…)。

参考)

超初心者のためのIllustrator文字ツメ入門(追記あり) #moji_for_webya | Suikolog

 

 


3. アキを挿入(左/上、右/下)
こちらはベタ組をそのまま活かしたいので「自動」を選択。

 

4. 文字組み

▼行末約物全角f:id:system-skiyaki:20160608204533p:plain

▼行末約物半角

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「文字組み」の設定を効果的に見せるために、猫には英語(?)で鳴いていただきました。

行末約物全角では、選択行の最後を全角分だけ確保して、「NYA-NYA-」の「」前後のアキを狭くして調整しています(禁則がかかっているので、“)”だけ次の行に飛び出すことはありません)。今回はすっきりボックスの形をキープしておきたいので「行末約物半角」にしました。

 


5. 禁則処理

▼弱い禁則をかけた場合f:id:system-skiyaki:20160608133359p:plain

▼強い禁則をかけた場合f:id:system-skiyaki:20160608133404p:plain

見比べてみたらけっこう違ったので、少しでもベタ組感をキープできる「弱い禁則」を選択。

拗促音(「ゥ」「ー」など)なども対象に含めたい場合は「強い禁則」を。
http://www.dtp-transit.jp/adobe/illustrator/tutorial/post_1004.html

 

 

6. ぶら下がり

▼標準をかけた状態f:id:system-skiyaki:20160608211333p:plain

▼強制をかけた状態f:id:system-skiyaki:20160608211343p:plain

「標準」はテキストボックスの中に「。」が収まっていますが、「強制」は外に逃がす代わりに、ボックス内の本文の並びがなるべく均等になるように調整されています。

今回は、ページ全体に背景がガッツリ入ることが予想されるので、句読点などは外に逃がす「強制」を選ぶことにしました。

(わかりやすい効果を再現するために、文字組を「約物半角」に変えています)

※「ぶら下がり」は禁則処理が「なし」以外になっているときに使える設定です。

 


7. 欧文の前後のアキを調整
ここまで設定してきたところで、文中にたくさん入ってくる欧文の混ざり具合をチェック。分かりづらいので「」と背景の方眼をなくしたのがコチラ。

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NYA-NYA-の前後が少し空いているのが気になります。

「文字組み」の中にある「文字組みアキ量設定」で自分好みに詰めてみることにしました。

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オレンジ枠のところが欧文の前後のアキを調整する部分。

まずは「新規」ボタンを押して、任意の名前を入力。今回は「元とするセット」を「行末約物半角」にしたので「行末約物半角(欧文前後ツメ)」。ひねりなし。

 

そして、ウィンドウ上の「名前」が新規作成したものになっているのをチェックしたうえで、数値を(下げるときは低いものから順に)下げていきます。

設定したら「保存」→「OK」をクリック。

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欧文の前後が少し狭くなりました。(今回は最小・最適を8%、最大を12.5%にしてみました)

 

新規作成したこのカスタマイズ設定を「文字組みアキ量設定」ウィンドウから「書き出し」も可能。

書き出しておくことで、別のファイルを開いたときにもお気に入りの設定を「読み込み」で呼び出すことが簡単にできます。

 

 

 

 

均等配置(最終行左揃え)

そして最後に、忘れずに段落の設定に「左揃えのジャスティファイ」を選択。

これを選び忘れると、欧文がたくさん入ったときにボックス内でテキストの最後がガタついてしまいます。

 

▼左揃えf:id:system-skiyaki:20160608214301p:plain

▼最終行左揃え

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…“薄暗いじめじめした所で”、猫がカオス化したところで今回は完了に。

 

実際に本文を流し込んだ後に調整が必要になってくるかもしれませんが、
今回はこの設定を元に進めていきたいと思います。

 

最後に、名著に手を加えてしまってそうせき先生ごめんなさい。

買っただけで一文字も読めていない先生の本2冊、これを機にいい加減に読みますね。